kawazu_gkgkのブログ

井の中の蛙が勉強して得たことを記録する.

相似比を用いた折り紙の領域分割

折り紙で動物を作ろうとした際,自分の場合はまず頭部のみを試作し,その後胴体を含めた全体の試作を行う.

このとき毎回問題になるのが頭部と胴体の大きさの比率であり,頭と胴のバランスが良くなるようにいくつか異なる比率で試している.

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この"比率をつくる"方法として定規で測ってしまうという手があるが,出来れば道具を用いずに"折る"ことだけで実現したい.私の中では折り紙は紙だけあればいつでもどこでも出来る手軽な趣味という立ち位置.

折る(折り目を付ける)だけで比率を作る際に利用するのが"三角形の相似比"である.

下図のような平行線の間に2本の線を加えてつくられる2つの三角形は対頂角・錯角の関係から相似となる.

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相似比は並行線上の底辺の長さの比で決めることが出来,これによって一方の平行線からもう一方の平行線へ延びる直線は三角形の頂点の部分から相似比で分割される.

これを用いることで様々な比率を作れるが,具体的な方法は毎回その場で考えているため複雑な比率を考えると時間がかかってしまっていた.
そのためここに具体的な折り目のつけ方をまとめてしまおうというのが今回の目的である.

  • 1/3

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基本的に折り紙の対角線1本+もう1本の斜め線で相似の三角形を作る.

縦折りで半分にすることで出来る折り目を目印にして図のように折り目を入れれば相似比1 : 2の三角形が出来,1/3が作れる.

  •  1/5

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縦に4つ折りした折り目を用いることで1/5,2/5を作ることが出来る.

 

  • 作ることが可能な比

この領域を分割する方法で作ることが可能な比を考える.

折り紙を縦にn等分する折り目を作ることが出来るならば,

l/n : m/n  = l : m (m < n, l < n)

となる相似比の三角形を作成することが可能,すなわちl/(l + m)の領域を作ることが可能ということになる.

逆に言えば・・・

・1/3を作る場合,l = 1, m = 2となるため少なくとも2等分する必要がある.

・1/5を作る場合,l = 1, m = 4となるため少なくとも4等分する必要がある.

・2/5を作る場合,l = 2, m = 3となるため少なくとも3等分する必要がある.

・3/7を作る場合,l = 3, m = 4となるため少なくとも4等分する必要がある.

実用のために前述の条件を以下のように言い換える.
 

分数a/bの領域を作る場合,b - a < nとなる整数nで紙を等分する必要がある.
ただしa, bは互いに素な整数であり,a ≦ b/2とする.


a > b/2となる場合(2/3, 4/7等)は(b - a)/bとして考えればよい.

ところで,2つ折りを繰り返していくことで折り紙をx^2等分(xは整数)することは容易であるので,作りたい比率に合わせてこの方法で必要な分割数を作ることが可能と言える.

したがって以上の方法で任意の整数比の領域分割が可能となる.